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院長コラム

実はすごいかも?Whole-body vibration(全身振動刺激)

2024年09月18日

皆様こんにちは。残暑厳しい9月です。今年の夏も、迷走台風や局地的な集中豪雨のニュースが多かったですね。個人的には夏休み、暑さを避けるつもりで北海道に行ったのですが、帰りの新千歳空港で報道にもあったハサミが無くなった騒動に巻き込まれ、帰りの便が欠航に!!!お盆と前日までの台風のあおりを受けて、本州まで3日後まで飛行機は満席との事。なんとしてでも翌日帰る必要があり、札幌から大阪まで新幹線で帰る羽目になりました・・・。北海道・東北・東海道と、いろんな色の新幹線に乗りましたが(笑)、飛行機なら2時間のところ、12時間要しました。

 

さて、今日のお話は「Whole-body vibration」の小話です。直訳すると「全身振動刺激」ですが、難しいものではありません。よく家電量販店でデモ機がおいてある、ブルブル震えるプレートに乗るエクササイズです。

小さいお子さんが喜んで飛び乗るあれです。我が家の末っ子Nさんも、見つければデモ機に乗っています。

私は「ダイエットとか健康意識の高い人の楽しみだろう?」程度で捉えていたのですが、論文検索サーチで改めて調べてみると、整形外科に絞ってみても

・骨粗鬆に対する骨密度増加

・変形性膝関節症の疼痛緩和

・慢性腰痛の疼痛緩和効果

などについて、私の興味のある領域だけでも、最近たくさんの報告が増えています。

 

これらに目を通すうちに、私が大阪大学にいたころ大学院生たちが軟骨や椎間板の細胞を入れたお皿をバイブレーションプレートに載せて、細胞の活性を調べていたのを思い出しました(こんなに未来のあることなら、彼らにもっと学ぶべきでした・・・)。実際、細胞は刺激がないと分化をやめてしまうので、適度な刺激を入れることは重要です。ちょうど宇宙飛行士さんが宇宙に出ると、重力という刺激がないため筋肉量が減ったり、骨粗鬆になったりしてしまうのがいい例です。いまは宇宙ステーションにもジムがあるのは、皆様もTVや映画などでご存じかと思います。

このエクササイズのよいところは、動き回ったりする必要がないことです。ご高齢になると、立ったり座ったりの運動自体が転倒のリスクになることもあります。その点、Whole-body vibrationは座って行うことも可能です。まだまだエビデンス(効果の科学的な証明度合)は乏しいのが論文でも言及されますが、逆に言うと、論理的に効果のある方法を模索して行えば、想像以上の効果が得られるかもしれません。私個人は、骨粗鬆の方で投薬介入してもなかなか上昇しにくい大腿骨の骨密度を、この方法を用いて上げられるのではないか、模索しております。

さて、当院でもバイブレーションプレートをリハビリ室に置いてみました。転倒のリスクを避けるためと、効果的な使用を行いたいため、リハビリ室のスタッフに指導・見守りさせる形で運用を始めます。もしご興味がありましたら、診察室でお申し出ください。

ではまたお会いしましょう。

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