Column
院長コラム
その痛み、冷やしますか?暖めますか?
2025年01月31日
皆様こんにちは。年始のご挨拶を、と思っているうちにもう1月も終わりになってしまいました。寒さもピークのこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
寒い季節柄、四肢関節の痛みが増したとおっしゃる患者さんが多い今日この頃です。寒さや気圧といった気候に関する変化と痛みの関係は、そのメカニズムは立証されているわけではありませんが、特に慢性痛の患者さんは気候の変化に敏感に反応する傾向があるようです。北陸の冬は慢性痛の方には酷な季節です。
さて、今日は寒さで思いついたお題ですが、痛い部位を冷やすべきか暖めるべきか、よく患者さんから質問があるテーマですが、この点に触れようと思います。冷やすか暖めるかを考える場合は、その痛みが発生したメカニズムを考えることが大切です。急性発症の疼痛(≒炎症性疼痛)か、慢性の疼痛かで分けると考えやすいです。
例えば、急性発症の疼痛の代表として、外傷を考えてみましょう。打撲を想像してみてください。打撲した場所が腫れたり熱をもったりした経験があると思います。この時、局所では血流や血管透過性が亢進し組織の炎症が惹起されています。炎症を起こすと熱を持ちます。このような場合、「冷やす」ことで血流の亢進を抑え、炎症を抑えていくことが大原則になります。
一方、慢性の痛みの代表として、変形性膝関節症の膝周囲の痛みを考えてみましょう。膝周囲の動きが悪くなっている背景があり、そのため関節周囲の筋腱組織や靱帯組織(軟部組織と言います)も固くなってしまっています。筋組織がうまく働かなくなると組織の血流が低下し、冷えた感覚が生じます。このようなときお風呂などで暖めると楽になったり動きやすくなったりすることを経験された方もいらっしゃると思います。このように、局所の冷感があったり、組織の硬さを伴ったりした慢性の痛みに対しては「暖める」が原則となります。
冷やすか暖めるか迷ったとき、実際に患部をまず触ってみてください。熱を持っていたり腫れていた場合は冷やす、冷たい感覚があったり痛みのある部位がこわばった感覚があれば暖める、です。「急性腰痛で痛みをとるために温泉に長い時間浸かっていたらとても痛くなった」という方がいらっしゃいますが思いっきり逆を行っていたわけです・・・。同じ場所の痛みでも、そのメカニズムで冷やすのか暖めるのか、変わってきます。腰や背中などの深部の痛みの場合は、お風呂に入ると痛いかどうかも、一つの使い分けの判断根拠になると思います。
というわけで2025年の最初のコラムでした。参考にして頂ければ幸いです。2025年、私はエコー診断技術の向上とエコーガイドブロック手技のブラッシュアップを通して皆様の健康をサポートできるように努力していく所存です。今年もよろしくお願い申し上げます。