Column
院長コラム

頭痛と、頚部の痛みや肩こりについて

2023年04月11日

みなさんこんにちは。

いよいよ新年度が始まりました。春先は何か新しいことを始めるのにはいい季節です。ということで、運動不足の解消のため縄跳びをしようと縄とジャージを用意はしたのですが、結局まだ1日しかできていません(/ω\)

ところで、首や肩の痛みがある方で、「首の痛みや肩こり頭痛って関係あるのかな?」と思った経験はございませんか?脳腫瘍や血管障害による頭痛は命にもかかわる場合があるので、長引く頭痛は脳神経専門の先生に診ていただくのが重要ですが、首や肩の痛みが原因で引き起こされる頭痛も少なくありません。今日は番外編で、整形外科に関連する頭痛について考えてみました。

 

International classification of headache disorder (国際頭痛分類)の改訂第3版(2018年)の中に分類されている、整形外科とも関係の深い主な頭痛は「緊張性頭痛」と「頚性頭痛」です。

  • 緊張性頭痛

側頭筋や頚部伸筋群、僧帽筋などの頭から頚部・背中にかけての筋肉が過度に緊張することによって、頭の痛みを感じるとされるものです。頚部や背部の筋肉の緊張(コリや痛み)と頭痛の発生の関連について、正確なメカニズムはいまだよくわかっていませんが、頭痛を感知する侵害受容器の疼痛閾値の低下や、痛覚を伝達する神経伝達物質の過放出が原因のひとつと考えられています。日本での年間の有病率は20%超と頭痛の診療ガイドライン2021にも書かれており、頭痛の中では一般的なものです。

 

頭全体を締め付けられるような痛みが数十分から数日間(長い!!)持続する場合もあります。

長時間のうつむき姿勢運動不足などの生活習慣が原因となることが多く、また精神的ストレスが慢性化や重症化に関与することもわかっています。

 

  • 頚性頭痛

頚髄から分岐するC1, C2, C3脊髄神経根の支配領域から生じる関連痛としての頭痛とされています。すなわち、頚椎に由来する痛みによって引き起こされる頭痛です。一つの病気ではなく、さまざまな頚椎疾患によって上位頚髄神経根が刺激されて引き起こされる頭痛の総称で、有病率は5%未満の報告が多いです。

論文によると、以下のような特徴があります。(Antonaci F, et al. Cephalalgia, 2021)

首から肩にかけての痛みが、頚肩部の痛みがある側の頭痛を引き起こします(片側性の頭痛)。ここが緊張性頭痛と異なります。後頭部から始まり、前頭部に痛みが放散します。

頚椎の痛みがあるため、頚部の可動域が減少します。頚椎を動かしたり頚椎を圧迫した際に生じる頚部の痛みが頭痛の引き金となります。おそらく頚部の筋肉や関節が刺激され、頚部の筋緊張が亢進し、頚髄神経根の被刺激性が高まって頭痛を引き起こすのではないでしょうか。頚部の痛みの発生源をブロックして頭痛が消える場合は頚性頭痛と診断できますが、頚部の痛みの発生源が一か所とは限らないため診断が難しい場合も多いと想像されます。頚椎の痛みは慢性的に起こることも多いため、慢性の頭痛の一つの要因ともされています。

 

今回調べてみますと緊張性頭痛も頚性頭痛も、症状や成因には違いがありますが、くびや肩の痛みと同時に起こることがよくわかります。また、これらは互いに影響しあっているのかもしれません。頚肩部の痛みが長引くことでなかなか頭痛も抜けきらないこともあると思われます。

生活習慣やストレスが痛みを増幅・遷延させることは様々な痛みで言われていますので、ストレスを少なくする(心理的にも、頚部の筋肉にも)ことを心がけることも大事です。

そういえば、WBCのサヨナラ勝ちや優勝の場面をみているときは、私も腰痛を忘れていました!楽しいことがあれば痛みを忘れる典型です。

 

今回は腰痛のお話を離れましたが、次回からはまた腰痛のお話に戻ります。今日はありがとうございました。

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