Column
院長コラム

腰痛のお話 ~椎間板と腰痛~

2023年03月15日

皆様こんにちは。3月も半ばに差し掛かり、日中20度前後まで上がる暖かな日も出てきました。桜の開花もまもなくですが、この季節三寒四温と言われるように気温の変動で体調管理も難しいことがあります。皆様気を付けてお過ごしください。

 

さて、腰痛のお話し、今日は腰椎の椎間板に焦点を当ててみようと思います。

 

椎間板は、腰椎の椎体と椎体の間にあるクッションです。

こんにゃくマットのように、本来は弾力のある組織です。髄核と呼ばれるゼリーが、線維輪という殻に包まれているイメージです。

ただ、髄核は加齢とともに徐々にゼリーの様なみずみずしさが失われてきます。また、線維輪の殻も亀裂が入ってくるようになります。

もともと椎間板そのものには血管も神経もないため、炎症が起きたり(炎症が生じるためには血流が必要です)、痛みの刺激が神経を伝ってくることは正常ではありません。しかし、加齢とともに生じた線維輪の殻の裂け目から血管や感覚神経が入り込むようになり、炎症性の痛みが生じたり、神経性の痛みが生じたりし、腰痛を引き起こすようになります

 

こんにゃくマットであればお店で買い替えることができるのですが… 椎間板は再生能力が非常に乏しく、一度水気を失った髄核がみずみずしさを取り戻すことはありません。またまだ人工椎間板は特に腰椎は日本では上市されておらず取り換えが効きません…。再生医療の発展が望まれる分野でもあります。私も大阪大学時代、腰椎椎間板再生医療の治験に携わった経験がありますが、一般に使用できるようになることが大変待ち遠しいです。

 

椎間板由来の痛みは怒責や中腰など椎間板内圧が高まるようなことがきっかけで急に起こることもありますし、椎間板の炎症や周囲への刺激が持続した場合は慢性の腰痛の原因になることもあります。

あくまでも一般的なお話になりますが、

前かがみになると痛みがでる

・腰の深いところが広範囲に痛む

お尻や足にもひびくような痛みがある

といった症状が椎間板に由来する腰痛の例です。

背中を押してもピンポイントの圧痛部位はないことが多いです。全体が張ったような痛みとおっしゃる方が多いです。

 

実は…わたしも腰椎椎間板ヘルニアを数年前経験しました。ズボンを脱ごうと前かがみになった瞬間、痛みが腰の深くからズドーンと。打撲の痛みとは違い、しびれるような痛みが腰の深くから感じられ、その後しばらくして足にも痛みがビリビリ下りてきました。MRIを取ると、大きな椎間板の脱出がありました。。。これが椎間板由来の腰痛か、、と妙に納得したことを覚えております。思いのほか激痛で、苦労しました。。。相当痛かったです。。。

 

治療を椎間板由来の痛みのメカニズムから考えると、

  • 椎間板の炎症を抑えるための消炎鎮痛薬の投与や椎間板ブロック
  • 椎間板からの疼痛経路を遮断するための硬膜外ブロック、神経根ブロック
  • 慢性化した場合は、椎間板内圧が上がらないような生活指導や体幹・骨盤底筋群の筋力強化(リハビリテーション)

などが治療法として挙げられます。硬膜外ブロックが効果的な場合もしばしば経験します。

 

当院では、さまざまな腰痛に対してその原因を画像や診察所見から推定し、ブロック注射(原因と思われる組織に直接ブロック、痛みの伝導路である神経をブロック、など)や投薬、リハビリテーションなど、なるべく負担の少なくかつ効果があると考えられる方法を提案させて頂き治療させて頂いております。MRIも、提携させて頂いているご施設でこちらから予約し撮影させて頂くことも可能です。急な腰痛だけではなく、長く続く腰痛等でお困りの方、お気軽にご相談ください。

 

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