Column
院長コラム

腰痛のお話 ~痛みの分類~

2023年01月09日

みなさま新年あけましておめでとうございます。

 

新しい年、久しぶりに京都に初詣に出かけました。鴨川を通りがかったついでに、飛び石を20数年ぶりに渡ってみました。冬の飛び石は初めてでしたが、久しぶりに童心に帰ったひと時でした!リフレッシュし、また2023年も院長コラムを続けさせていただきます。お付き合いお願いいたします。

さて、昨年末から始めた腰痛についてのお話です。

「腰痛」といっても、いつから始まったか、どういったきっかけで始まったか、で捉え方や対処の仕方が異なります。人によって原因が異なる腰の痛みをひとくくりにして同じ対応をしても、すべての患者さんにうまくいくとは限りません。どういった腰痛か、をまず分類して、腰痛を見つめなおすことが大事と考えています。

 

  • 急性腰痛か慢性腰痛か?

急性の腰痛は、腰痛が始まってから4週未満と定義されています。慢性の腰痛は、腰痛が3か月以上持続しているものと定義されています。その間のものは亜急性の腰痛と呼ばれます。(腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版 より)

例えば、ボールを取り損ねて突き指してしまったことを想像してください。始めは指が腫れて痛いですよね。でも、長くても1か月ほどで気にならなくなっていることがほとんどと思います。これは急性の組織損傷が起こったけれども、自然に組織が修復されて治癒した、と捉えることができます。これが急性期の疼痛であり、腰痛も急性期は同じような経過をたどることが多いです。急性期の組織損傷は、1か月程度で通常修復されることがほとんどだからです。

しかし、突き指しても1か月を超えて痛みが続いてしまったり、動かしにくかったりすることがあります。これは、通常の治癒過程よりも時間がかかるような組織損傷(骨折や靱帯断裂)が起こっていたのかもしれません。腰痛も同様であり、通常の治癒過程よりも時間を要する要因が重なったときに、腰痛が慢性化します。これが慢性腰痛であると捉えることができます。

 

  • 痛みの種類は?

国際疼痛学会によって、痛みはその原因によって図のように3つに分けられて考えられるようになりました。

  1. 侵害受容性疼痛
  2. 神経障害性疼痛
  3. 痛覚変調性疼痛

 

1が、いわゆるケガなどの急性期の組織損傷による痛みと捉えられます。2は、腰痛に関していえば椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄など、神経組織の損傷で生じる痛みです。3は聞きなれないかもしれませんが、1や2のような組織の損傷がないにも関わらず、痛みを感じ取ってしまうために起こる疼痛と捉えられています。痛みは国際疼痛学会で「組織が損傷されたとき、または損傷されそうなときに起こる、不快な感覚および情動体験」と定義されています。すなわち、障害されていなくても、脳(≒心)が痛みのような感覚を呼び起こしてしまうと、痛みを自覚してしまう状況となり、これを痛覚変調性疼痛と呼びます。レモンを見ると、酸っぱいと想像し、唾がたくさん出てくるのに近い状況です。

腰痛はこれら1から3の要因が重なり合って生じていると考えられ、とくに2や3の要素が大きいと慢性化しやすいと考えられております。

 

大まかな分類を示させていただきましたが、腰痛とくに慢性腰痛は、神経組織や痛みを認知する認知機能(情動反応)に左右され、それぞれの状態によって治療方針が異なります。

当院では腰痛に対し

①投薬治療

②注射(各種ブロック治療)

③リハビリテーション

④物理療法

を患者さんの腰痛の原因を考えながら組み合わせて治療を行っております。急な腰痛、長く続く腰痛、等でお困りの方、お気軽にご相談ください。

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