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院長コラム

骨粗しょう症による「せぼね」の骨折~番外編~

2022年08月27日

こんにちは。

夏休みも終わり、秋が近づいてきました。クリニックの周りも夜は涼しくなりコオロギの鳴き声がするようになっています。今夏は小松市でもそうでしたが、各地で集中豪雨で大きな被害がでましたし、コロナウイルス感染症もまだまだ流行が収まる気配がなく、落ち着かない夏を過ごされた方も多かったかと思います。

 

さて、骨粗しょう症についての次のお話、今回は骨粗しょう性椎体骨折の番外編として、意外と知られていない骨粗しょう症の脊椎骨折を一つお話しします。

 

これまで、このコラムで脊椎の骨粗しょう症による骨折は主に背中から腰にかけての脊椎のお話でした。でも、もう一か所、背骨の中に折れやすい場所があります。

 

それは、第2頚椎(首の骨)です。特に、第2頚椎の歯突起という突起が、その根元で折れやすいのです。

つまずいて転倒し、頭を打って受傷することが多いです。骨粗しょう症によってもろくなった骨は、ちょっと頭をぶつけただけでも折れてしまうことがあるのです。

折れた歯突起が後ろの脊髄を圧迫してしまった場合、

手足の動きが失われるだけでなく、呼吸中枢も近いため、重篤な場合は呼吸が停止(死に至る)してしまう可能性があります。

 

しかしながら、幸い脊髄の通り道がこの部位は広いため、首の痛みだけが症状のことがほとんどです。「転倒して首が痛い?むち打ちでしょう。様子を見ましょうね」というふうに見過ごされやすく、見落としが多い骨折としても有名です。

 

さらに困ったことに、この骨折を受傷すると、その後の生命予後が短くなることが報告されております。骨折後にねたきりになってしまい、肺炎や心血管障害によってお亡くなりになられるかたが多いことが一つの要因です。

 

 

骨粗しょう症による骨折後1年の死亡率を調べた研究があります(Venkatesan M, et al. Bone Joint J, 2014)。

  • 歯突起骨折受傷後1年の死亡率:37.5%
  • 大腿骨近位部骨折後1年の死亡率:32%
  • 手関節(橈骨遠位端)骨折後1年の死亡率:4%

と、骨粗しょう症の骨折の中でも生命予後を悪くする骨折であることがわかります。

 

どなたもわざと転倒されるわけではありません。しかし、転倒してしまってもなるべく骨折をしない強い骨を作っておくことが大変重要です。

そのためには、骨折しにくい骨の強度を保ち続けることが大事であり、日ごろから(骨折を起こす前に)自分の骨の状態を知っておくことが大事です。骨折してから痛い思いして治療を開始するより、痛い思いを未然に防ぎたいものですよね。

 

当院ではWHO(世界保健機構)や日本の骨粗鬆症診断ガイドラインでも推奨されている大腿骨と腰椎の骨塩定量が同時に可能な骨塩定量検査を導入しております。

受診当日に検査可能ですので、「転ばぬ先の杖」ならず「骨折する前の検査」、としてお気軽にお申し付けください。

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